日本ヘビー級の今

後日談

佐藤の夢はしかし、叶うことはなかった。

ほどなくして経営していた日本ビデオ販売が業績不振で解散。

ヘビー級育成ボクサーたちへの給料も払えなくなり、選手たちはそれぞれの道を歩んでいくことになった。

夢は夢のまま、消えてしまったのだ。

相模原ヨネクラジムの二人の重量級ボクサーがラスべガスでデビューしてから19年経った2014年現在、ヘビー級で世界タイトルマッチに挑戦した日本人はいない。

しかし、2010年以降に重量級選手の輩出が続き、ついに日本プロボクシング協会では日本ヘビー級ランキングを55年ぶりに復活させている。

そして2013年には藤本京太郎と竹原虎辰(こたつ)との間で日本ヘビー級タイトルマッチが行われた。

日本人の世界ヘビー級チャンピオン。

夢はすべて消え去ったわけではなく、今も日本ボクシング業界のなかに、小さいけれど確かな灯として受け継がれているのだ。


2014年1月

岩澤 剛